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・但し、例えば、電話を利用したダイヤルQ2サービスを加入電話契約者以外が利用して多額の請求がなされてきた場合に、加入電話契約者本人の責任を制限的に解する判例がある。よって、約款により、受信者や受注者を保護し、発信人とされた人に契約当事者としての責任を負わせる仕組みをつくる場合には、その約款の内容・方法等について十分検討が必要と思われる。

 

(参考:訴訟例)

加入電話契約者以外の者が、契約者に無断で、その加入電話により情報料回収代行サービス(いわゆるダイヤルQ2)を利用したため情報料債務が発生した事案につき、平成5年3月大阪高裁は、加入電話契約者が情報料債務を負担する根拠と解し得る約款等がないとして、加入電話契約者の責任を否定した。

 

?Dいずれにせよ、電子商取引の際の無権限者による取引について、技術的なレベルと制度面での対応など全体から見て、本人の責任をどこまで認めるかについて、一定のコンセンサスが形成されていく必要がある。よって、実証実験を通して、技術的にはどの程度まで本人確認が可能か、それを前提として誰が責任をとるのか、さらにそのリスクをカバーする制度が整備できるのかどうかなど認証の問題について見極めていく必要がある。

 

(5)書面要件の問題

●現行制度における書面要件について、電子商取引に場合に、どう考えるかについて検討すべきではないか。

?@日本の法制度上、下請代金支払遅延防止法、宅地建物取引業法等特別法においては、不公正取引の排除及び取引内容の明確化の観点から売買契約に伴い書面を要求しているものがある。現在、電子商取引の進展を受け、書面要件に関してクローズアップされているところであるが、一般的に書面要件のみを論ずる必要はなく、個々の法律ごとに趣旨を勘案しつつ見直しを図って行くべきである。

例えば、下請代金支払遅延等防止法に関しては書面が要求されているが(第三条)、公正取引委員会の規則によって一定の要件を満たせば書面でなくても、電子データでもよいという扱いとなっている。

 

 

 

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